大阪・関西万博×IR×MICE「万博の成果をIRに」
2021/5/24

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MICE施設のキャパシティは必要だが、オンラインも模索すべきか?

国内外から数千人から数万人が集まるMICEは、開催地域への経済波及効果、都市プロモーション、新たなビジネス創出等、開催都市における都市競争力の向上に大きな効果が期待されることから、世界最高水準で「アジアナンバーワンの国際観光都市」を目指す大阪にとって重要な事業の柱での一つです。

大規模な集客を見込めるMICE

今回のコロナ禍において、ソーシャルディスタンスをはじめとした一連のオンライン化などの感染予防対応は、あくまで非常時の対応であり、ベースとなるものはやはりリアルイベントであると考えています。
その中で、世界のMICE市場の中でオールインワンのMICE施設、10万㎡の展示場と1万㎡の国際会議場が併設されていないと、一流のイベントが呼べない。こうした課題に関しては何度も議論を重ねているので、キャパシティに関する方針は変わりません。
一方で、三密を防ぐような対策は運営上のコントロールでできるはずです。会場に行ってみたら、すごい満員だったということにならないよう、AIやIoTなどのテクノロジーを用いて、会場の密集度をリアルタイムにチェックしたり、運営の導線を最適化することができると思います。あとは会場に来なくてもイベントを楽しめる方法も必要です。集客人数は減るかもしれませんが、イベントに関わる人数を増やすことで、結果的に満足度は高められるかもしれません。大事なことは、出来ない理由を探すのではなく、この状況下において出来得る全てのことを集約させた発展的思考で物事をとらえることです。

オンラインイベントの可能性

商談などが発生する場合はリアルイベントが基本ですが、特にBtoCのイベントでは物理的に行けない人や混んでいるところがダメな人も参加したいというニーズに応える必要があります。ですから、「参加型イベント」のイメージを変えていくという意味においては、今回の万博そのものの運営に対して、結果的にコロナウイルス対策のノウハウがいい影響を与えるのではないかと思います。かたくなに人数を集めるだけではなく、満足度を高めるために見せ方も変えていかなければなりません。

いくつかパターンがあります。いきなりリアルは敷居高いからオンラインで参加するという選択もありだと思います。プロサッカーだって、今まではいっしょに肩を組んで、スタジアムで旗を振ることが重要でしたが、同じ空間を共有するという応援のやり方にこだわらなければ、マーケットはもっと拡がっていくはず。今回のような無観客試合だって、どうやって参加感を出して行くのかは1つの実験ですよね。リアルの価値は大事にしたいのだけど、選択肢を増やしていくことが重要です。リアルの価値がフラットではなく、階層化されていきそうな気がしますよね。そして全体の参加者数が増えれば、MICE自体の活性化が期待できるという視点でとらえてまいりたいと思います。

感染防止活動と経済活動再生の両立が必要になる

[新型コロナウイルス感染拡大の前後で、世論形成の変化について]
大阪は2009年に当時の橋本徹知事がIR誘致を宣言して、何回もの選挙や説明会を経て今に至っています。私も30回以上、市民集会や講演会で観光戦略における重要性を語ってきました。こうして10年かけて築いてきた世論形成は、そんなに簡単には崩れないです。むしろ、みなさんからはコロナの影響でIR事業者がちゃんと投資してくれるかと心配されているくらいです。
私が今、みなさんにお願いしているのは、コロナウイルスに関しては感染拡大防止の一点張りではなく、経済活動再生のために「どうやればできるか」を考えてほしいということです。感染拡大を防ぎつつ、いかに経済活動を再生させていくかは、世界からも注目を集めているはずです。感染状況に一喜一憂するのではなく、大局を見ながらアクセル・ブレーキを使い分け経済を動かしていき、感染防止活動と経済活動再生の両立をしていかなければなりません。
たとえば、今回のプロ野球やJリーグの再開に関しても、感染拡大防止と経済活動再生を両立した方策がとられています。これをうまく両立し、オリンピック開催にまでこぎ着ければ、国際社会での日本のプレゼンスはさらに上がります。だから「ピンチはチャンス」なんです。
新型コロナウイルス感染症の収束を見据えて、次なる手を打つための準備をしていくこと。今まで疫病、災害、テロなど様々なものが起こるたびに、移動と集合の制限があった。そこから新たな生活様式、価値観、スタイルが出てくる。それを取り込み、今のうちから最先端を行く準備をしておくことが大切です。

今後の観光戦略は量から質へ

4.8兆円の規模だったインバウンド需要は、今回のコロナ禍で大打撃を受けています。しかし、将来に向けて反転攻勢をかけるための時間を与えてくれたとも言えます。現在、世界はコロナ禍で分断の危機にあり、人種差別の問題が出ていますが、こんな時期だからこそ、日本はもっとリーダーシップをとって、協調・共生を訴えるべきです。
日本政府が発信した「日本モデル」は、結果的に死者が少なかったということに関しては、日本人の衛生感覚や忍耐強さ、そして規律正しさが美徳として誇れるのではないかと思います。だから、ダイバーシティ、LGBT、多様性の問題に加え、安心・安全・清潔などの分野では、むしろ日本の強みが出せるはずです。コロナウイルスが終息し、新しい世界が生まれるときは、日本は世界のリーダーシップをとっていくべきだし、そうなったときは今回の万博も意味づけが変わってくるはずです。
特に三密を避けるという点では、観光戦略も量から質への転換が重要になりますし、安心・安全・快適な環境を作っていかなければなりません。そして、質の高いサービスという新しい市場に向けては、古い常識に固執せず、変化に対応できる会社のみが生き残っていくことになると思います。

大阪・関西万博×IR戦略

もともと万博は観光立国・地方創生の起爆剤と位置づけており、ヘルスケアやソサエティ5.0、SDGsなど日本の持つキラーコンテンツのブランドに磨きをかける場だと思っています。万博の成果やフィードバックを活かし、IRが新しいインバウンドの需要に応える質の高いサービスの受け皿になればよいと思います。
もちろん、先にIRがインバウンドの受け皿となって、万博に行きたかったところですが、こうなってしまった以上は万博のコンテンツや理念をIRの中に埋め込んでいくことが重要になると思います。

MICE 推進活動 〜コロナ禍を「日本 No.1 の MICE 都市」実現のチャンスに 〜

新型コロナの感染リスクで展示会の中止や延期が進む中、昨年大阪はいち早く感染症拡大のリスクを抑えMICEを開催するための主催者向けガイドラインを策定いたしました。その結果、どの都市よりも多くのMICE開催を実現し、特にインテックス大阪(大阪市住之江区)では20年100本の展示会が中止になったが、ガイドライン策定後、残り70本は踏みとどまっています。その勢いが、 FOODEX JAPAN や ツーリズム EXPO ジャパン の誘致にも繋がっていると考えております。MICEは将来大阪が(産業の)中継基地として機能する上で欠かせない存在です。交通・飲食・宿泊の消費額も大きく、観光にもつながる。この立ち上げがうまくいけば(観光の)潮目は一気に変わます」
ここまで取り組む理由は、万博・IRを見据え、日本でもトップランクの MICE 都市 をめざすためであり、コロナ禍で周りの都市が様子見している時に、感染症対策をしながらしっかりと展示会・国際会議を行う、そういうミッションを皆さんと一緒に果たしたいと思います。また、コロナ禍の終息したその時は、MICEがただ元に戻るのではなく、新型コロナ拡大前以上の新しい形を築くことが出来るよう、一段階進化していることを期待したいと思います。

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溝畑 宏(みぞはた ひろし)
1960年 京都府生
1985年 東京大学法学部卒業、自治省入省
2002年 大分県企画文化部長
2004年 株式会社大分フットボールクラブ代表取締役、2008年Jリーグナビスコ杯優勝
2010年 国土交通省観光庁長官
2012年 内閣官房参与、大阪府特別顧問、京都府参与
2015年 大阪観光局理事長(大阪観光局長)、大阪府市都市魅力戦略推進会議 委員
2017年 大阪府・大阪市IR推進会議 座長、大阪・関西スポーツツーリズム&MICE推進協議会 会長

※受賞歴
2002年9月 :2002年ワールドカップ日韓開催功労賞(韓国サッカー協会より)
2010年11月 :ベストドレッサー賞
2012年1月 :経済界大賞
2021年2月 :WEIBO ACCOUNT FESTIVAL IN TOKYO 2020 ベスト観光都市賞

※著書
「溝畑流・日本列島観光論 逆転こそNippon!」(講談社)
「爆走社長の天国と地獄 大分トリニータV.S.溝畑 宏」(木村元彦著・小学館新書)

※主な出演歴
フジテレビ:「報道2001」、「バイキング」
日本テレビ:「真相報道バンキシャ」、「news zero」
テレビ朝日:「モーニングバード」、「ビートたけしのTVタックル」
TBS:「あさチャン」、「報道特集」
テレビ東京:「カンブリア宮殿」、「ワールドビジネスサテライト」
NHK:「日曜討論」、「クローズアップ現代」、「かんさい熱視線」
読売テレビ:「ウェークアッププラス」、「ミヤネ屋」、「そこまで言って委員会」、「特盛よしもと」

溝畑宏オフィシャルホームページ http://www.mizohata-hiroshi.jp/index.html
Facebook https://www.facebook.com/mizohatahiroshi0807/

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