取材のプロが直伝!会議で意見をいかに引き出すか。
2021/3/23

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「会議で社員がなかなか意見を出せない」、後で「あれは本心ではなく、実はこう思っているのですよ」など、あなたの会社では意見が出ない会議が常態化していませんか?
今回は、意見や考えを引き出す取材のプロ『月刊総務』の編集長 豊田健一さんに会議での意見の引き出し方を直伝してもらいましょう。

コロナ禍、リモートでの会議が増加中

ビジネスパーソンならだれでもが参加する会議。建設的なモノもあれば、非効率なモノ、内職をしながら参加しているもの。そして数多くの会議でうんざり。ビジネスパーソンの就業時間の中で会議の占める割合は相当あるのではないでしょうか。結果、会議に対してはあまりいいイメージを持っていない方も多いのではないでしょうか?

 一方で、イノベーションと言われる新たなサービス、業務の仕方、これらも形態はどうであれ、会議という場で生まれていることも事実。実りの多い会議は、事業の成長、会社の成功に結び付くのです。それを目指し会議を開催するのですが、事前準備がなされていない、上手に進められない、その後の動きが把握されず、決定事項がうやむやに。

さらに、新型コロナウィルス感染症により、リモートワークが当たり前となった今日、会議の場もデジタル空間に移行し始めています。移動しなくて済むので、一日に6本zoom会議が入っている、そのような話もよく聞きます。実際、私もそれに近い状態です。また、聞いているのか聞いていないのか、反応がないと進めにくい、同時に発言すると聞き取れない等々、会議のお作法も変わってきているようです。

今回は、リアルな会議、リモート会議、それぞれに共通して必要な、会議の上手な進め方についてご紹介してみましょう。とは言いつつも、ありきたりのことを書いても、他でも読めますし、面白くないので、私ならではの視点で書いてみますね。それは取材、という視点です。仕事柄、毎月7~8件の取材をしています。取材イコール、意見や考えを引き出すこと。これは会議でも必要なことです。いかに本音を引き出すか、後で、「あれは本心ではなく、実はこう思っているのですよ」、なんて言われたら、その会議の意味がありません。いかにスムーズに、さらりと本音を引き出すが、そこにフォーカスして筆を進めていくことにしましょう。

いかに相手に気持ちよくなってもらうか

会議にもいくつか種類があります。まずは社内の会議。よく知った仲間との部内の会議、同じ社内ですが部門をまたいだ会議。社外の方との会議。顧客との会議、サプライヤ、パートナーとの会議。他のステークホルダーとの会議。そのうちでもハードルが高いのが、外部の初対面の方との会議。ある程度前情報はあったとしても、雰囲気、話の仕方は、その場で初めて分かります。何らかの意見、さらに踏み込んで本音を引き出すには、どのように進めていけばよいのでしょうか。

リアルの会議では、まずは名刺交換から始まるのがほとんどでしょう。この名刺交換が一つの 重要な確認ポイントとなります。その渡し方で、相手の会議にかける思いも伝わってきます。丁寧な名刺交換、少し横柄な名刺交換。案外素直に気持ちが表れるものです。それにあわせて、こちらの会議への最初の入りの姿勢も変わってきます。少し警戒しながら様子見で会議を進めていくのか、いきなりフランクに会議を始めるのかをこの時点で見極めていきます。そして、挨拶が始まりアイスブレイク的によもやま話が始まることも多いでしょう。その際に見極めるのが、話の終わらせ方です。会議は双方の掛け合いとなりますから、どのタイミングで質問を挟み込めるか、こちらの意見を挟み込むか、その間合いを見極めるのです。

なぜなら、相手に心地よく意見を言ってもらう、本音を引き出すためには、相手に気分的に「ノリノリ」になってもらわなければならないからだ。気持ちよく、楽しい状態になってもらわないと、本音やら、真剣な意見はなかなか出てこない。いやいやながら、しょうがなしに対応、そんな状態は作ってはいけないのです。

皆さんも経験があると思いますが、これから本音を話そうと思ったところに質問 、あるいは意見挟み込まれで、つまり、話の腰を折られると、「ガクッ」とくることはあるのではないでしょうか。なので、この人は、どのタイミングで一通りの話を終わらせるのか、その間合いの確認をしっかりとして、その合間に当方の発言を始めることが大変重要となります。間合いを合わして双方が掛け合いをすることができると、相手は気持ちよく話を続けてくれるものです。自らの持つ話の間合い、これを乱されると、思考の歯車もかみ合わなくなり、結果、時間が掛かったり、本音が語られなくなる、そんな事態にもなりかねません。とにかく相手にこの場のコミュニケーションを楽しんでもらう、そのために相手の間合いに合わせることが大変重要となってくるのです。

質問で流れを作る。流れができる質問をする

その間合いが把握できましたら、次は質問の仕方が重要となります。私が意識しているのは、スムーズな質問の展開です。ある質問をして回答をもらったら、その次の質問は、その回答に関係する質問、あるいは、前の質問に関係する派生的な質問をしていくのです。

いきなり、前の質問と違う内容の質問をされると、そこで「ウッ」と詰まるケースがあると思います。聞かれる方も、ある程度流れを想定しつつ質問を聞いているものです。そして、その流れから次はこのようなことを聞いてくるだろうから、ということで、いろいろと考えを巡らせていることでしょう。そこに、全く違う角度の質問 、意見が投げかけられると、いままで作ってきた流れや、雰囲気が途絶えるケースがあります。せっかくいい流れが出来ていたのに、またゼロから作り直し、ということになりかねません。一方で、関係する質問を続けざまに浴びせると、相手はスムーズに話を続けてくれるものです。これが成功するとよく言われる誉め言葉、「豊田さんには、話をどんどんと引き出されてしまう」、という状態になります。そうなると、こちらが想定していないいい意見、いい回答がいただけることが可能となります。

話の流れに乗って、その派生的な質問で、さらに話の流れを強いものにしていく。相手も、次に来る質問がイメージできるので、準備ができる。そうなると、流れがさらに強いものになり、ますます興に乗って話をしてくれる。まさに芋ずる式に美味しいところを引っこ抜くイメージです。

気づきの提供と本音の引き出し方

その流れが構築できると、いよいよ会議、コミュニケーションの醍醐味である、相手に気づきを与え、本音を引き出すフェーズへの突入です。この流れの中で、相手が考えたことのない質問を投げかけるのです。例えば、月刊総務の企画、総務のプロに話を聞くコーナーがあるが、その中では、いい流れが出来てきたところで、下記のような普段考えていないような質問を投げかける。
「あなたにとって総務の楽しさって?」
「何を軸として判断していますか?」
「何がモチベーションの源泉ですか?」

あくまでも話の流れの中で、その中で、普段考えたことのない質問を交えると、本音が出てくる。本質的な質問 、根源的な質問を投げかけるのです。しばしの沈黙のあと本音が語られる。その場で真剣に考えてくれた、まさに本心が垣間見れる瞬間です。これが成功すると、「こんなこと考えたことなかったなあ」、「自分でも初めて気づきました」。そんな言葉が頂ける場合がある。ある意味、これは会議、コミュニケーションの一つの楽しさでもあります。

会議での本音の引き出し方。実りある会議のためにも、一つの参考になれば幸いです。

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豊田 健一
株式会社月刊総務 – 代表取締役社長 『月刊総務』編集長

月刊総務は、株式会社月刊総務から刊行されている月刊誌です。
その名の通り、企業の総務部門の業務に関する記事を掲載しているユニークな雑誌で、複雑化する業務に対応して旬な情報や総務業務の考え方、有用なサービス、専門家コラムなど、総務、人事の仕事をサポートするコンテンツが様々な切り口から分かりやすく解説されているのが特徴です。

【概要】
株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人FOSCの副理事長や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。

専門分野/講演テーマ例
<総務業務分野>
総務部業務全般のコンサルティング
総務の在り方、総務のプロとは、戦略総務の実現など

<営業分野>
総務部向けの営業に関するコンサルティング
総務経験者が語る総務の実態、総務の意志決定プロセスを知るセミナー

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