主体性と自主性の違いとは?
2021/4/20

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社会に出ると、誰しも一度は「主体性・自主性をもって行動してください」と言われたことがあるのではないでしょうか。もしくは、部下や後輩に「主体的に・自主的に動いてね」と指導する立場に立ったことがあるかもしれません。主体性と自主性は、「自ら進んで物事に取り組む」という基本的な姿勢は共通していますが、ある決定的な違いがあるのをご存知でしょうか。
その違いについて、教育デザイナー&コーチである藤井久志さんに、具体例や実体験を交えながら説明してもらいましょう。

主体性と自主性の意味とは

「自主性」とは、自らが率先して行動することです。一度言われたり教えられたことを他人から言われる前に、率先して行動できるという意味合いがあります。
「主体性」とは、自分で考え、判断して行動することです。中には責任を持って行動する人もいます。
主体性は、自主性の上位互換のようなもので、やるべきことを自ら考えて行動するという意味合いがあります。

主体性と自主性の決定的な違い

それぞれの意味は分かっても、結局何が違うのかイマイチわからないと思った方もいると思います。
次の例を見てみましょう。

とある高校のテニス部に新入部員が入部してきました。
顧問の先生 「入部おめでとう。チームの一員になったから、チームに貢献してほしい。」
新入部員  「はい!」
顧問の先生 「でも君たちは技術面でも体力面でも未熟だから、競技においてはまだ貢献できない。うちのチームは朝7時から朝練をやっているから、30分前の6時半に来て、ボールを拭いたりネットを張ったりコートを整備して、スムーズに朝練ができるようにすることで、チームに貢献してほしい。」
新入部員  「わかりました。」
翌日から新入部員は6時半に来て準備をする。その次の日も準備をする。
そしてその後、誰に何も言われなくても毎日朝練30分前に来て準備をするようになる。

これが「自主性」です。
ではもう一つ例を見てみましょう。

とある高校のテニス部に新入部員が入部してきました。
顧問の先生 「入部おめでとう。チームの一員になったから、チームに貢献してほしい。」
新入部員  「はい!」
顧問の先生 「では今の君たちが、チームに貢献できることは何ですか?」
新入部員  「技術面でも体力面でも未熟なので、朝練の準備をすることでチームに貢献します。」
翌日から新入部員は6時半に来て準備をする。その次の日も準備をする。
そしてその後、誰に何も言われなくても毎日朝練30分前に来て準備をするようになる。

これが「主体性」です。
さて、この違いは何でしょう?
「やるべきことを決めたのは誰か」ということがこの会話のポイントです。
自主性の例では、やるべきことを決めたのは顧問の先生でした。やるべきことを決めたのが自分(新入部員)の外側にあり、自らが考え、決断した選択ではないことが分かります。
主体性の例では、やるべきことを新入部員自身が決めました。やるべきことを決めたのが自分(新入部員)の内側にあります。
つまり、自主性と主体性の決定的な違いは、「やるべきことを決めるのが自分の外か内か」という部分なのです。
誰かの敷いたレールに乗り、与えられたものを誰に言われなくてもするのが、自主性。
今までなかったことを自ら考えてするのが、主体性です。
主体性のある人は、自ら考えて行動する人といえます。

なぜ今「主体性」が求められるのか

1. ビジネスでも重要な主体性

スポーツチームにおいて、自主性の高いチームと主体性の高いチーム、どちらが勝つ確率が高くなると思いますか?
それは主体性の高いチームです。
練習メニューの違いはあれ、与えられたことをひたすらこなすだけでは、どのチームも同じです。部員一人一人が、自ら考えて、よりよくするために自主練をしたり、相手チームの戦い方をリサーチするなど、主体的に動くことが勝つ確率を高めます。
これは部活動やスポーツだけではなく、ビジネスの場や人生においてとても重要なことです。
「主体性のある」人は、人事採用担当者が喉から手が出るほど欲しい人材です。
私は以前、「いい人材、いないですか?」と知り合いの人事採用担当者4人に聞かれたことがあります。
「いい人材とはどんな人ですか?」と聞くと、全員、「主体性のある人」と答えたのは印象的でした。
言わないと出来ない人よりも、言わなくても自ら考えて行動できる人の方が、ビジネスチャンスを逃さず、ミスをしてもその原因を考えられるなど、結果として会社の利益に繋がりやすいのです。

2. 受け身でもある程度成り立つ環境

私達は、中学生までは義務教育で、やるべきことを全て与えられています。
高校からは義務教育ではなくなりますが、時間割りが配られ、カリキュラムを与えられます。
大学では、学校や専攻などの選択肢が広がりますが、基本的には学校側が提供することの中から選択して学び、単位を取得して卒業します。
会社でも、基本的に与えられた仕事をして給料をもらいます。
根本的に受け身で、与えられたことを各々工夫してやっているという状況なのです。
自主性があればそれなりにやっていけます。
雇用があるうちはそれでいいのですが、問題は会社を退職した後、自分で稼げるかどうかです。

3.老後2000万円問題

2019年に金融庁が、人生100年時代を見据えた資産形成を促す報告書で、「老後資産が2000万円不足する」との試算を示した問題を巡って波紋が広がったことは覚えていますか?
年金だけでは暮らしていけないということを政府が発表したも同然で、批判の声が上がりました。
その報告書によると、推計で、男性が65歳以上、女性が60歳以上の夫婦では、年金収入に頼った生活設計だと、年金21万円-消費26万=毎月約5万円の赤字が出るという計算になります。100歳まで生きることを計算すると、年金の他に2000万円の貯蓄か収入がなければ暮らしていけないということになります。
今の若者が65歳になったときには、状況が好転している可能性は高くないと予想できます。
未来のことなので確実なことは言えませんが、少子高齢化が進むことで年金が減り、さらに物価も上がっているかもしれません。
ひとつ言えることは、私達は定年退職後も稼ぎ続けないといけないということです。
稼ぎ続けられるかどうか、自分で考えてきた人(主体性のある人)とそうではない人で差が出ます。
若い時に、自ら考えて行動し、トライ&エラーを繰り返していくことで、主体性を身につけることが、老後に自分で稼いでいけるかどうかを大きく左右するのです。
スポーツは、主体性を身につける為の絶好の機会ではないでしょうか。

主体性を身に着けるためにはどうすればいいのか

主体性は、自主性と違って、やるべきことを決めるのが「自分の内側」にあると先に述べました。
やるべきことを決めるためには、自ら「考える」必要があります。
では、「考える」とは、どういうことなのでしょうか?
辞書には「物事を理解したり、感受したりするために心を働かすこと」とありますが、私は「『問い』に対して返事を創り出す行為」だと定義しています。
正解を導き出したり、結論を出すことではなくて、「返事(答えではない)」を「創り出す(創造性=クリエイティビティ)」ことなのです。
自ら考える人になる為には、返事を創り出す為の「問い」がポイントになります。
自分に「それはなぜ?」「それを達成するためには何が必要か?」と問いを投げかけ、考えるという思考回路を構築することが、主体性を身につける為にやるべきことだと言えます。

今回のコラムでは、主体性と自主性の違いや、主体性を持つメリット、主体性を身に着けるためのポイントを紹介しました。主体性とは誰もが持っているものであり、指導者の関わり方次第で引き出していくことができます。

>>>次回の記事では、主体性を身につける為の「問い」や、主体性を高めるための指導方法について詳しく紹介していきます!お楽しみに!
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藤井久志さんプロフィール
教育デザイナー&コーチ
コミュニケーションアドバイザー
愛知県 豊田市在住
https://sportscoaching.jp/sc0004/

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