思わず参加したくなる会議の秘訣
2021/5/12

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「結局、この会議では何が決まったんだっけ……?」
そんな疑問が頭をかすめた経験、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
今回は、ビジネスリーダー向け月刊誌の創刊・編集に従事し、インタビュー実績は700人を超える富田裕之さんに思わず参加したくなる会議の秘訣を直伝してもらいましょう。

会議は本当にムダなもの?

 学校、職場に町内会、人が集えば必ずと言っていいほど開かれる「会議」。とりわけ数の多さでいえば、ビジネスがダントツでしょう。いったい日本の企業はどれくらいの時間を会議に費やしているのか――。
 パーソル総合研究所の調査によると、役職が上がるとともに時間数は増え、部長クラスが社内会議や打ち合わせに費やす平均時間は434.5時間。これは1年間の就業時間全体のおよそ2割に相当します。
 問題は、これらの時間が、本当に企業の経営や利益に役立っているのかどうか。マネジメント層に「ムダ」と感じる会議の割合を尋ねた設問の結果は、なんと27.5%。つまり、会議の3割は「役に立たない」「減らせる」と感じている、というのです。
 なぜ、ムダな会議がこんなにも多いのでしょう。どうしたら、出席した”甲斐”のある会議を増やせるのでしょうか。
 「時間」と「空間」の2つの”間”を切り口に、参加したくなる会議のポイントを考えてみましょう。

会議は「時の使い方」が9割

まずは「時間」です。
 これから始まると思うと、思わず”ため息”が出てしまう会議の共通点は「ダラダラ」。意見が出ない、まとまらない、終わらない。時計の進みがとてつもなく長く感じる会議には、誰だって出るのをためらいます。
 なぜ、こんなダラダラ会議が生まれてしまうのでしょうか。
 それは「時間」に関する3つの重要なことが欠けているからです。
 1つ目は、「時間の終わり」が定まっていないこと。
 2つ目は、「時間の配分」がなされていないこと。
 そして3つ目が、「時間の意識」が共有されていないことです。
 詳しく見ていきましょう。

①「時間の終わり」が定まっていない会議
 こういう会議の開催案内を目にしたことがないでしょうか。
「会議時間 10:00~」。
 始まりの時間だけ書いてあって、終わる時間が明記されていない。案内に書き漏れたのではなく、何時に終えるかが、そもそも決められていないのです。背景には「時間をかければかけるほど、会議は結論に近づける」という日本人特有の固定観念があると言われます。
対照的にアメリカ企業の会議は、始まりの時間と終わりの時間がきっちりと決められています。10:00開始で終了は11:00、議論すべき項目は3つあるので、1つの議題にかけられる時間は最大20分……。例えば、こんな具合でしょう。終了時間をきちんと定めることで、はじめて会議の時間配分が可能になるのです。
ダラダラ会議を撲滅するにはまず、「終わりの時間」をきちんと決めること。決めるだけでなく、参加者にあらかじめ明示しておくことも忘れてはなりません。

② 「時間の配分」がなされていない会議
 終わりの時間をはっきりと割り出せれば、会議の時間配分は半ば成功したようなもの。終了時間までにすべてを話し合うには、ここをこうして……と、割り振りが見えてきます。とはいえ、それはあくまでも「こうなったらいいな」という理想にすぎません。理想を現実化するために、必ず獲得しておかなければならないことがあります。なんでしょうか。
 それは「参加意識」です。
 部屋の片隅に座ってはいるけど、表情は上の空。他の人の意見に耳を傾けている様子もない。こんな人、会議で見かけたことがありませんか?
  出席はしていても会議に「参加」はしていない、いわば傍観者です。1人ならまだしも、2人も3人もいるとやっかいです。ネガティブな空気が周りに伝染し、会議全体の雰囲気がゆるみだすのです。そんな状態で、時間配分が機能するはずもありません。傍観者ではなく参加者がいてこそ、会議は前に進みます。 
「参加者」を増やすコツは2つ。
1つは、出席者全員と「時間内にすべてを話し合い、結論を出す」という認識を始まる前に共有しておくこと。もう1つは、その認識のもと、それぞれに「役割」を求めることです。「田中さんは、広報的な視点から企画への意見をお願いします」「鈴木さんは、法令遵守の観点から問題を指摘していただけないですか」といったように、期待することを個別に伝えておきましょう。
 ここまでできれば「時間配分」は機能し、ダラダラ感はほぼなくなります。

③「時間の意識」が共有されていない会議
 こうして「終わりの時間」が定まり、「時間配分」が機能するようになれば、ため息をついていた出席者の意識もきっと様変わりしてくるでしょう。平気で遅刻して全員の時間を奪う、”時間泥棒”も姿を見せなくなるはずです。
 会議とは、出席者それぞれが「自分の時間」を持ち寄ってこそ成り立つもの。
全員がその時間を「豊かな時間」にしようと思うこと、それがムダな会議を「快議」に変える出発点です。

その座り方、改めませんか

参加したくなる会議をつくる2つのポイント。「時間」の次は「空間」です。
時間には十分気を配ったのに、どうしてもまとまらない。議論が紛糾してしまう。そんな時は、往々にして「空間」に問題があります。具体的にいうと会議室内の「座り方」がよくないのです。
 例えば、車の中で同乗者と話をする場合、相手が助手席にいるか、後部座席にいるかで話しやすさが随分と変わってきます。話しにくい人とは、おのずとコミュニケーションの量も減るでしょう。会議も同じです。座る位置が相手への印象、互いの関係性に大きく影響するのです。
 避けたいのは、すべての座席が演台を向く、学校の教室のような場で始まるケース。互いの顔が見えず、後方に座る出席者ほど傍観者になりがちです。講義や研修ならまだしも、活発な議論を期待するなら座り方を変えましょう。
 ポピュラーなのは「ロの字型」。教室型よりは互いの顔がよく見えますが、上座下座ができやすく、横並びの人と話し合いにくい難点もあります。ロの字が基本レイアウトの会議室を使う時は、思い切って一辺の机を取り去り、トライアングル型にしてしまうのも一案でしょう。ロの字型よりお互いの距離感が近く、上座下座もありません。
 「座り方」を変えるのが難しい場合でも、自分の座る位置や体の向き、視線の配り方など、できることはたくさんあります。
 他人を変えるより、まず自分が変わろうとする。そういう参加意識が、会議の「空間」を変え、ひいては「空気」を変えることにつながります。

こんな時だからこそ「会議」を楽しもう

ここまで「時間」と「空間」の2つの切り口から、参加したくなる会議のポイントを見てきました。どちらにも共通するのは「間」をどうつくるかによって、会議はよくもなり悪くもなる、という点です。会議は、出会いの場でもあります。人と人との「間」がよくなれば、そこに豊かな人間関係が生まれます。
 人間は、社会的動物といわれます。どこかの集団や社会に所属していたい、必要とされていたい。その欲求は、人との接触が制限される今も弱まることはありません。むしろ、強まっています。
2つの間を生かして意義ある「会議」を増やし、ウィズコロナの時間を豊かなものに変えていきませんか。

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富田裕之さんプロフィール

麗澤大学外国語学部を卒業後、
平成11年、倫理道徳の研究教育を進める公益財団法人モラロジー道徳教育財団に入所。
出版部門でビジネスリーダー向け月刊誌の創刊・編集に従事。
100号を超える特集企画に関わり、インタビュー実績は700人を超える。
中小企業診断士。経営や歴史、生き方などのテーマで講話実績も多い。

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